6.先祖の意識

先祖の意識

親は私たちに一番近い先祖です。 
親のインチャがその親、またその親からと代々引き継がれていることは珍しくありません。 
総じてそれが先祖の意識がインチャになって私たちの中に引き継がれていることがあります。 
それは知らずのうちに脈々と受け継がれ、その家のインチャとなっているものもあります。 
   
また無意識には遠く過去世の意識も溶け込んでいます。 

つまり、過去世での抑圧した意識がインチャとなって私たちに影響を与えることがあるのです。 
過去世で経験したときと似たような状況に陥った時、まるで再体験するかのようにその感情に乗っ取られてしまうのです。 

 

 

ある人の例 

その女性は、結婚していましたが夫をないがしろにしてしまうことで悩んでいました。 
どうしても夫を馬鹿にしてしまう。 
夫の言うことにいちいち反発し、何につけても怒りを感じてしまう自分に疑問を持っていました。 

さらにこの方には妹がいるのですが、その妹も、男性で苦労しているとのことでした。
妹は反対に男性に依存してしまうということでした。 
実は妹は男性を心から信じているのではなく、
「依存すれば男性は可愛がってくれる=男性を思い通りに動かせる」と実は男性を手玉にとろうとしていたことがわかりました。 

姉妹でそれぞれの男性への対応は正反対ですが、ふたりとも同じ“男性への不信”が見え隠れします。 
信じられないと思い込んでいるから、馬鹿にして上に立とうとしてみたり、依存に見せかけて男性を思い通りにできるようにすることで支配権を得ようしていたのです。 
支配権とは【見捨てられない】ために必要だったのでしょう。

一見すると真逆に見えますが、そこでおこっている意味は同じです。 
どうしてこうなってしまったのでしょう。 

実はこの姉妹の両親も似たような関係の夫婦で、母がいつも父を「うだつのあがらない男だ」と罵っていたといいいます。 
父は抵抗することをとうの昔に辞めてしまい、母の言いなりのようになっていたそうです。 
そんなことはしたくないのに気が付けば夫に対して厳しくあたってしまい、口うるさく罵ってしまうことが日常になってしまっていることにその方は悩んでいました。 

この方は母親と大変仲むつまじい親子だったといいます。
最初は「自分と母親との親子関係に問題など何もない」とその方はおっしゃっていました。
しかし、仲が良かったゆえに母親のインチャを良いものとして受け継いでしまっていたのかもしれません。
インチャの学びを進めるにつれ、夫に対して厳しい態度で当り散らしてしまうときの自分の意識を見ることができるようになりました。

そこで気が付いたのは、必死に母親の真似をしようとしている自分に気が付いたといいます。
愛する母親に、もっと認めてもらいたかった子どもの姿が見えます。
もっと認めて欲しい、大好きなこの気持ちをわかって欲しい。
それは裏返すと、「見捨てられたくない」です。
見捨てられたくないから、見捨てられないように母親のお気に入りを演じる。
親子の仲が良いのは当然です。
ここに、無条件の愛で満たされず、必死で母親にすがろうとする奥さんの子ども時代が見えてくるようです。
夫への仕打ちは本人が望んでいることではありません。
母親に愛されたいがゆえに、母親の真似をしようとする意識があったのです。

愛されたいがゆえに、母親に自分の方を向いて欲しいがために、親の意識を知らないうちにコピーしたといえるのです。
相手を振り向かせる一番の方法は、相手の考えになびくこと。
辛かったと思います。

それだけではありません。
ここには母の男性に対する怒りに似た恐怖のインチャがあります。

実は母のお母さん。つまり、祖母にあたる方は「内縁の妻」という扱いで、その夫(その方から見れば祖父)は妻の生活を顧みる事がなかったそうです。
そのせいで、祖母は若い頃から大変な苦労をして必死に娘(母)を育てられたそうです。 

そんなことから、祖母は自分を守るために・・・そして娘に同じ苦労をさせないために
「男はいい加減な生き物だ」
「女はしっかりしないといけない」という意識を持ちながら母を育てていたのです。 

娘に自分と同じ苦労をさせたくない。 
娘を男性の放蕩から守れる強い人間に育てたい。 

親心から来るものだったのですが、理屈の通じないインチャレベルでは「男は敵だ」となっていたのでしょう。 
つまり、母親のインチャは母親の努力の無さで生まれたものではなく、生きていくために祖母から母に与えられたものだったのです。 

さらに、その上の世代、おばあさんの母親も男性に苦労をかけさせられた人生だったことがわかります。 
祖母のインチャすら、祖母自身が作り出したのではなかったのです。 

もちろん、今を生きるこの姉妹にも悪いところはありません。

ただ、母や祖母を通じて自分に繋がる先祖から解決すべきインチャを、先祖が解決できなかった“たすき”を託されていたのです。

今の自分より強い存在はない

このケースでは祖母の男性にまつわる苦しい経験がインチャの原因になっていました。 
それは「男とはこういうものだ」という男性に対する思い込みと云う形で引き継がれたのでしょう。 
しかし、祖母も単に男性が憎かったわけではないのです。 

重要なのは、すべて「わが子を守るため」だったということです。 

生きるために、身を守る術としてインチャを良しとし、そのまま子に渡してしまったのです。
インチャを自分の人生で学んだ教訓として渡してしまったのです。 

祖母にとっては必要だったことかもしれません。 
もしかしたら、この価値観(インチャ)のお陰で、姉妹は男性にだまされること無くここまで来れたのかも知れません。 

しかし、それでも孫姉妹がこのインチャの縛りゆえに歪んだ男性観を持ち苦しんでいます。 
姉妹の人生は姉妹のもので、先祖の写し絵ではないのです。
苦しみの源のインチャは、先祖から来たものです。 

もしあなたが先祖の立場だったらどう思うでしょう。 
良かれと思って残したもの、愛する子孫を苦しめている。 
子孫は、それを手放すどころか、後生大事にそれにしがみついて生きている・・・。 

自分のせいで子孫が苦しんでいるのですから先祖にとってこんなに苦しいことはありません。 
しかし、先祖にはどうすることもできません。 
インチャを乗り越えることができるのは、今を生きる私たちだけなのです。 

引き継いだインチャは自分が生み出したものではありません。 
だから、何も恐れることはないのです。 
苦しみからインチャを見出し、インチャを見つめ、インチャを癒し、インチャを克服したとき、成長があります。 先祖がインチャを遺してくれたから成長できたのです。 

その時、先祖がこの世に生きてきた意味がひっくり返ります。 
インチャは先祖が残した厄介な負の遺産ではなく、成長を促す、生きる意味を見出す糧になったのです。

自分が生きてきたせいで、子孫を苦しめている・・・という事象が 
自分が遺したものを使って、子孫が成長してくれた・・・という事実に変わります。 
それができるのは今を生きる私たちだけです。 

自分を見つめ、先祖が残した誤った意識の連鎖に気付きその連鎖を断ち切ろうとすること。
つまりは、私たちが正しく成長し、幸せになること。
これこそ先祖供養だと私は考えます。 

苦しいこともあるでしょう。
辛いこともあるでしょう。
嘆いてばかりいても何も変わりません。
でも、その苦しみに寄り添い、自分を変えることができたなら
少しでも自分が、自分の人生を愛することができたなら、
その時、先祖から受け継いだインチャの苦しみは、幸せに至る為の素晴らしいチケットとなるのです。

高額のお布施ばかりが先祖の供養ではありません。  
私たちが「今」に生き、受け継いだ課題から目を背けずに向かい合うことで、己の成長=幸せに繋げていくことこそが、まず第一の先祖供養なのではないでしょうか。 

 

 

 

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